税制
税制
ミャンマーの税制の概要
税務事例(Vol.44 No.6) 2012-6に掲載された高山政信税理士の記事を引用しています。
現在、 ミャンマーにおける租税は、関税を含め15の税目と若干の地方税が存在している。このうち、税収面から主要と恩われるものは、①所得税(Income Tax) 、②利益税(ProfitTax) 、③商業税(Commercial Tax)、③印紙税(Stamp Duty)、⑤宝くじ税(State Lottery) の5つの国税であり、これらはすべて財務省歳入局(日本の国税庁に相当。IRD:Internal Revenue Department) の管轄となっている。その他は、国家平和開発評議会(State Peace and Development Council)や森林省の管轄となっているが、全税収の約90%がこの5つの税(所得税、利益税、商業税、印紙税、宝くじ税)で徴収されている。
主要な税のうち商業税は間接税であり、企業の事業所得や個人の所得に関するものは所得税と利益税なので、それらについて検討することにする。
所得税(Income tax)
1974年に制定された所得税法はイギリスの税法を基礎に立案された1929年ピルマ所得税法令に基づいている。所得税法は、 農業等を除いた国営事業、国営・民間共同事業、民間事業に適用される。
(1)納税義務者
次の者に所得税の納税義務が諜せられている。①国営企業、②国営・民間共同運営会社、③国営プロジェクトに従事する外国人、④)給与所得者、⑤非居住外国人、⑥居住外国人、⑦企業、⑧非居住国民、⑨その他の事業団体や合弁会社
(2) 課税所得
所得税は直接税であり所得に対して徴収される。所得とは納税者が受け取る現金.福利厚生及び臨時収入を意味し、また企業や事業団体の利益も含まれる。保有する固定資産の賃貸収入も課税対象となる。
(3) 税率
所得税率は、給与所得の3%~30%、事業については20%~40%の税率で課税される。キャピタルゲインについては、非居住外国人は40%、その他の者は10%の税率で課税される。
(4) 人的控除等
個人についての基礎控除は、総所得の20%である。ただし上限は12,000チャット。配偶者控除は、 5,000チャット。子供に対する扶養控除は、子供が5歳未満は1,000チャット、 5歳から10歳1,200チャット、 10歳から15歳1,600チャット、 15歳以上2,000チャットである。
(5) 確定申告等の手続
確定申告は、会計年度末から3か月以内に行うこととされている。予定納税は、会計年度中、月々又は四半期毎に前納することとされている。
(6) 必要書類の整備
納税者は会計書類を整備し、世界的に認められている会計レールによって会計管理をすることが義務付けられている。
(7) 外貨での取引への課税
納税者は、チャットの取引と外貨の取引に分けて記帳することが求められており、外貨の取引については、次の場合に分けて、それぞれの税率によって課税される。
① ミャンマ一国民が商品の売買や事業による外貨所得を受け取る場合: 2%
② 居住外国人が建物の賃料や機械のレンタル代、給与、人的役務の提供等の対価を受け取る場合: 15%
③ 特定の収入を得るミャンマ一国民: 10%
④ 一定の条件を満たす企業又は個人の輸出収入: 2%
(8) その他
① 非居住者外国人の意義
非居住者外国人とは、ミャンマーでの滞在が183日を超過する個人をいう。
② 外国人に対する源泉徴収
外国人については、次の表のとおりに源泉徴収される。
居住外国人 | 非居住外国人 | |
利子 | - | 20.0% |
使用料 | 15.0% | 20.0% |
国との契約 | 3.0% | 3.5% |
外国の事業者との契約 | 2.5% | 3.0% |
利益税(Profit tax)
利益税は、所得税が課税されない居住国民に対して課せられるものである。非給与所得者である国民やミャンマ一法人法令下で組織化されていないパートナーシップなどの団体などが対象となり、またキャピタルゲイン(資本利得)も課税対象となる。利益税は所得に対して諜せられる。
(1) 納税義務者
利益税の納税義務者は、固定資産売却による資本利得を獲得した個人、報酬を得るエンターテイナー、私営事業法に登録している個人及び塩の生産者等である。
(2) 課税率
課税所得によって50のレベルがあり、最低所得レベルはl0,000-12,000チャットである。
税率は、 3.3%から最大50%であり、課税所得が30万チャットを超える場合の課税率は50%である。キャピタルゲインについては、資産の売却によって生じた利益に対する税率は10%である。売却価額が5万チャットを超えた場合に課税の対象となる。
(3) 確定申告等
確定申告は4月1日から6月30日の問に行わなければならず、一年を通して所得の発生の都度前納しなければならない。
まとめ
過渡期のミャンマーは、税制も税の執行も過渡期である。
2012年4月に大幅な税制改正が実鈍され、法人税事が30%から25%に軽減され、個人についても給与所得者に対する源泉徴収義務が導入されたようであるが、細部についての情報が入手できないので、後日、情報を入手でき次第掲載することにする。
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QA
1. 外国資本がミャンマーで会社を設立する場合の形式は?
外国資本がミャンマーで事業を行う場合の形式は:
(1) 外国資本所有の会社
(2) 合弁事業
(3) 支店
外国投資の最も一般的な形は子会社か支店です。
2. 法人の居住地を定義している法律はなんですか?
内国法人は1913年制定のミャンマー会社法
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所得税の控除額と税率
No | 所得(年間) | 税率 | |
1 | 1 | 500,000 | 2% |
2 | 500,001 | 1,000,000 | 4% |
3 | 1,000,001 | 2,000,000 | 6% |
4 | 2,000,001 | 3,000,000 | 8% |
5 | 3,000,001 | 4,000,000 | 10% |
6 | 4,000,001 | 6,000,000 | 12% |
7 | 6,000,001 | 8,000,000 | 14% |
8 | 8,000,001 | 10,000,000 | 16% |
9 | 10,000,001 | 15,000,000 | 18% |
10 | 15,000,001 | 20,000,000 | 20% |
11 | 20,000,001 | 30,000,000 | 25% |
12 | 30,000,001~ | 30% |
参照:2012年3月15日の法令NO.109/2012による物です。
上記の所得には結婚されるなら結婚相手使用300,000チャット、子供がいれば一人当たり200,000.-チャットを引いた額であります。所得から減少される額は所得の20%に当たる金額または10,000,000.-チャットを超えない物であります。